ダンサーと坐骨神経痛

ケース① 足の親指がしびれているけれど、ヘルニアではない

「ホント、ここに来れてよかったです。全身もしっかり診てくれて、その上でピンポイントで治してくれるから。ここみたいに、ちゃんと診てくれるところってないですよ」

  

治療後、背中もスッキリしたと開口一番こう語ってくれたのは、ダンサーIさん。

 

腰から下のつっぱりと、足の親指の痺れが取れないと来院して三ヶ月。初回にあったバリバリなつっぱりはなくなっています。けれど、この間教えやレッスンを休むわけにはいきません。だからこそメンテナンスが大切なのです。

 

足の親指の痺れというと、即ヘルニアと心配する方が少なくありませんが、神経を圧迫するほどの真性の坐骨神経痛は少なく、ほとんどが腰から下の筋肉が硬くなって神経を圧迫するから起きているのです。彼女の場合は、脛の前、腰椎から殿部にかけて強いコリとハリがありました。

 

脚をたくさん使うのがダンスの動き。いろいろなムーブメントで全て100%、正しいポジションで踊れることもなかったりします。床の問題、複雑な振り付け、パートナリングの問題など。そういう環境で踊っていると、どうしても脊柱のコントロールが上手くいかず、結果脚に負担がかかってくる。

 

足の親指の痺れだから、腰から下のだけで治療すれば、スッキリ踊れるように戻れるかというとそうではないのが、ダンサーのカラダ。全身を使うからこそダンスのムーブメントになっているのです。

 

 バレエの鍼灸は、踊るカラダのバランスを取り戻す鍼灸治療です。

ケース② 腰への負担が増す理由は

「ここがあるから安心です。接骨院で診てもらって確かに良くはなるんですが、どうしても足りないんです。踊っているうちにあちこちが気になって、やっぱり あんじゅじゃないとって思うんです。先生自身が踊っているから、本当にピンポイントに痛いところや硬いところが分かってもらえて、終わった後に全身楽に なっているから、助かります」

 

Kさんが今回いらした原因は「ぎっくり腰」。彼女は毎年パ・ドゥ・ドゥを踊るほどの実力をもっている方。しかも『ぎっくり腰ってクセになるって言われたんですが本当なんですか?』別の治療家さんがそう話していたそうで心配していました。そうなんでしょうか?

治療家さんは男性の先生が少なくありません。そしてほとんどの方がバレエやダンスを踊った経験がありません。なので気づけないことが多々あるのです。それは、女性特有のカラダの使い方、そして、そのことがバレエを踊る上でマイナスポイントになりなねない構造が解剖学的にあるからなんです。

ぎっくり腰には、いろんな原因がありますが、起きている状況は「骨盤周囲の筋肉の筋繊維に炎症が起きていて、腰の筋肉に強い緊張が出ている」こと。そのため、腰をかがめたり、ひねったりすることが出来なくなります。そうなると、カンブレどころかプリエもしづらくなってしまいます。

けれど、ぎっくり腰だからって、腰だけの問題ではないのです。
もちろん、骨盤周囲にある炎症を抑えることは治療の最大優先事項ですが、それだけでは足りません。踊るには、トルソーである体幹と腕の関係がとても大切。女性は、年齢とともに、この関係が少しずつ衰えていき、コントロールしにくくなってしまうのです。これは、同じ女性として、又同じようにバレエを踊るものだからこそ気づけたポイントでもあります。
 
このようなケースでは、治療以外にコントロールが不足している体幹と腕のエクササイズをアドバイスしました。
エクササイズといっても、レッスンでおこなう基本のポールドブラに、どの筋肉を意識するのか、どの骨を意識するのかの視点を加えた内容なので、わざわざ別のエクササイズを覚える必要はありません。そして、これが治療効果を高める秘訣であり、且つプロからも信頼をいただけるオリジナルなバレエ鍼灸の基本でもあります。


 


腰のくぼみが痛い その原因とは

モダンな作品だと、クラシック特有のリフトではないものがいっぱいあります。振付家との仕事では、いろいろな動きをやって試行錯誤するものも多く、その後に、カラダのコーディネーションがうまくいかない、ということがおきてきます。
 
腰のくぼみが痛くて、腰が伸びない、と来院されたMさん。他に、同じ側の首にも強いつっぱりが出ていました。
左軸のドゥヴァン、スゴンと右軸のデリエールがうまくいかない原因は、脊柱起立筋のバランスの崩れにありました。診てみると、腰椎と頚椎に軽い側弯が出ています。
 
このような側弯は一過性で、多くが脊柱起立筋の筋緊張によっておきます。
 
脊柱起立筋は、骨盤から肩、首の上まで伸びる長〜い筋肉で、おおよそ3層に分かれています。
  

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ダンサーの腰痛 腰のくぼみが痛い時

この脊柱起立筋の上に、広背筋や菱形筋、僧帽筋などの背中の筋肉がのっているのです。一番下の深層は、細かく脊柱に張り巡らされているとでもいうか、煮魚の背骨の周りのある身と似ている構造担っています。
 
トルソーを右に左に回旋させるには、この背骨につながっている筋肉も使われているのですが、筋肉の特性から言うと、より外側にある大きな筋肉の方が力が強いのです。そのため、外側ばかりが動いてしまうと、トルソーの微妙な捻りはつくれないどころか、外側の大きな筋肉に引っ張られて、脊柱そのものが所々左に右にずれたりする。これが一過性の側弯です。
 
こうなるといつも動いている脚の土台は=骨盤にも、ズレが生じていきやすい。Mさんの場合は、腰のくぼみに痛みを感じてしましたが、骨盤にも左右差が出ていました。
 
このようなケースでは、痛みのある箇所以外、脊柱起立筋のバランスを整える必要があります。脊柱へのアプローチとしては、カイロプラクティックが有名ですが、お灸と鍼によるバレエ鍼灸も大きな効果を発揮します。
 
同じ脊柱起立筋の症状でも、ダンスの種類や年齢によって別のアプローチを加えた方が良い場合があります。
 
いずれにせよ、バレエ、ダンスでは、動きの中心となる脊柱のバランスが大切です。腰痛、首の痛みの陰にも脊柱起立筋のアンバランスが隠れています。
 
女性の場合は、生理周期によって靭帯ば緩みやすくなるため、常にバランスを整えておくことが大切です。