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ダンサーの腰痛 仙腸関節痛の原因と治療

腰の後ろの方が痛い時は仙腸関節の痛みが考えられます

仙腸関節が痛い、バレエの腰痛、バレエ鍼灸
骨盤と脊柱、腰部の骨
骨盤はカラダの真ん中にあり、体幹と脚をつなげているパーツです。解剖学ではハート型・ロート状と言いますが、真ん中が空いていて、正面から見るとダンボの耳のように横に広く、恥骨に向かってすぼまっているため、不安定な形になっています。二つの腸骨は脊柱の一部である仙骨を挟んでおり、恥骨の横、前よりに大腿骨がはまっているくぼみ(寛骨臼)があります。

 

では腰部はどこかと言うと、骨盤の後ろのライン(腸骨稜)の上の部分を言うのです。腰部は腰のラインの上にあるのに、痛みを感じている場所は案外バラバラです。


まとめてみると
○痛みがでている場所は、それぞれ違うけれど、腰が痛いと感る
○総じて腰部に強い張りとコリがでている
○場合に寄っては、骨盤周囲までガチガチに固まっているケースがある
のです。
中でも、仙腸関節痛は、骨盤(周囲)の痛みなのですが、愁訴としては腰が痛い、になることがとても多いのです。

 


仙腸関節痛とはどのようなものなのか?

仙腸関節とは、仙骨と腸骨(骨盤の広がっている部分)が合わさっている箇所を指します。

□仙腸関節痛とは、どんなものなのでしょうか?
仙腸関節は、関節としてはそれほど動かない関節です。普通に生活している状態であれば、生理時に痛くなることがある程度です。
というのも、股関節や肘の関節のように脚や手がよく動かせるような大きく動く必要がないからです。仙腸関節関節は、骨盤と仙骨の隙間にある関節で、一番動くのは、出産時。
けれど、これがダンス、ことにバレエでは、仙腸関節痛は起きやすい症状になっています。
 
痛みの種類
◯鈍痛
◯ヒリヒリした痛み
◯動かすと痛い
◯仙骨が床に当たる痛い
などがあります。
 
痛みの原因は、炎症です。
仙腸関節が痛いときは、仙骨の際、腰骨の後ろから真ん中にかけて炎症がでていることが多く、これが痛みの原因になっているのです。
 
痛み共に出る症状
◯腰骨から上の筋肉がつっぱる
◯お尻が硬くなる
◯腰痛(L1〜L5)の上が痛くなる
◯背中を反らせなくなってくる
などの症状が合わせて出てきやすい。時には、腰の筋肉はガチガチなのに、仙骨周囲はゆるゆるという、急性筋筋膜性腰痛と似たような症状が出ることもあります。

 

 

仙腸関節痛、バレエの腰痛、バレエ治療院あんじゅ
仙腸関節の構造

仙腸関節痛はなぜおきる?

では、
□何故、バレエやダンスにおいて仙腸関節痛が起きるのでしょうか?


考えられる原因
 
◯ターンアウトの間違い
◯オーバーユース
バレエ治療10年の臨床で、この二つに集約されると痛感しています。
 
ターンアウトの間違い
バレエにおいて股関節から脚を外旋させる=ターンアウトは我々日本人にとって本当に難しい。しっかり引き上げて股関節(ヒップソケット)から脚を外旋させていれば、それほど仙腸関節に負担はかかりませんが、それがうまくいかない時に、仙骨に負担がかかってしまいやすいのです。
では、海外のジュニアやプロのダンサーなら簡単にできるのか?というと、そうでないケースもあり、ジュニアのうちは5番ポジションではしっかりターンアウトしているのに、パのつなぎだったり、走って下手、上手へ移動するときなどを診ていおると、脚が縦になっている人は少なからず見られます。
 
オーバーユース
プロのダンサーでも仙腸関節痛をおこすことはあります。例えばディヴェロペでしっかり上半身を引き上げていれば、骨盤は安定した状態で必要な角度を保てるのですが、リハーサルが続いていたり、他の公演も重なっていたりすると、どうしてもコントロールが効かなくなってきて、腰にのっかってしまいやすくなってしまいます。その時負担がかかりやすいのが股関節とこの仙腸関節なのです。
 
ターンアウトの間違いみられる状況
人間のカラダはバレエを踊るようにできるいるわけではないため、全てのパを脚を外旋してできるようになるには長〜い訓練が必要だ、ということなのですが、その過程で起きやすいのが、このような状態です。
 
◯無理にお尻に力を入れてポジションに立つ
◯仙骨を立てようとして、骨盤ごと動かしている
◯プリエをする度に、お尻が出ないように腰回りに力をいれる
◯上半身を固めてアンシェヌマンをこなしている
 
オーバーユースで診られる状況
トッププロであっても、又、バレエ教師でも、カラダのコントロールをキープできなくなる場合もあります。ホルモンバランスの乱れや、長時間の移動、又、特に最近多い、多方面に動くコンテンポラリー作品などの影響もあります。プロの場合、仙腸関節に痛みが出ている時、柔軟なカラダだからこそ、他の箇所にひずみがでていたりします。
 
◯骨盤・トルソーの歪み
◯一過性の側弯
◯大転子の落下
◯膝と足首の捻れ
仙腸関節痛を伴う腰痛になったケースでは、上のような状態が多くみられます。

では、バレエダンスでの仙腸関節痛、どうやって治療するか?に移ります。


仙骨が痛い時、どうすればいいのか?対処方と治療

どうすれば治るのでしょうか?

○炎症を抑えること
仙腸関節の痛みの原因は炎症なので、痛みを取るためには、これにつきます。

簡易的にできる方法としては
○ロキソニンテープを貼る
○ロキソニン錠剤を飲む
 

現在は、炎症鎮痛剤のロキソニンが薬剤師のいる薬局で手に入れることができるので、一番最初にできるのはこの方法でしょう。

けれど、このロキソニンでとれるのはできて直ぐの炎症です。
と言うのも、皮下に浸透すると言っても短時間であること、錠剤は痛みのある仙腸関節にできている炎症そのものにダイレクトに利くものではないからです。

この二つで解消される痛みであれば軽傷なので、後はアライメントを見直して、インナーマッスルのトレーニングを強化するなどすれば、訓練されたダンサーなら踊りに戻っていけます。

これは、他のケガでも同じです。
けれど、この方法でも解決せず、痛みが慢性化して一ヶ月以上痛い、また痛みがぶり返す、場合は、他の要因を考える必要があります。

前の記事で仙腸関節に何故痛みがでるのかの理由を書きました。
それは
□ターンアウトの間違い
□オーバーユース
で、

慢性化したり、ぶり返す仙腸関節痛の先はこんな状況が診られます。

○炎症の拡大 仙腸関節以外、骨盤周囲の筋膜にも炎症が出ている
○骨盤周囲の筋肉・腰痛きわの筋肉が硬くなる
です。

痛みをごまかしながら踊ってしまうとカラダのアライメントは崩れていきます。仙腸関節は骨盤のプレースメントに関わってくるので、しっかり踏めない状況で踊る訳です。そのため、かかる負荷を支える他の筋肉に影響が及んでいきます。

片脚で軸のアラベスク・アティチュードやデリエールのカンブレなどで痛いだけだったのが、負荷の少ない床に寝て抱えた脚を伸ばそうとしただけで、腰全体に痛みが走り、仙腸関節がぴりぴりする、と言うクライアントもいました。

ダンサー、教師は休めないため、ほとんどの方が痛みを抱えてそのままやり過ごそうとします。またレッスン生は痛みに無頓着な方も少なくなく、ロキソニンを貼って痛みをごまかしながらレッスンを続けていると言うこともあります。

最初に炎症が出ているだけの時に適切な治療をすれば尾を引かないのですが、下手をすると膝痛を再発させた人もいました。
 

□バレエ治療院あんじゅの治療
○仙腸関節を含め、炎症のでている部分にお灸と鍼をおこないます
-特にお灸の効果は高く、ロキソニンテープを貼るよりも楽になっていきます。
○仙骨・骨盤・大腿部・腰部を含め筋膜や筋肉が硬くなっている部分を鍼で緩めていきます
-あんじゅでは鍼+血流をアップさせるのに効果大の温熱療法も加え、硬くなっている筋肉を緩めていきます。

○マニュピレーションを加え、スムーズに関節が動かせるように整えていきます
-炎症の度合いにも寄りますが、炎症が収まって筋肉が緩んでくると関節の動きも滑らかになっていきます。
 
(参考 治療メソッド

これらの治療は、バレエの解剖学と運動学が土台となっているので、軽傷の場合であれば一回で収まることも少なくありません。ぶり返す仙腸関節痛のケースは、少し様子を診る必要も出てきますが、治療をしっかり受けることで、痛みはなくなり踊りに戻っていけます。

仙腸関節痛の解剖から痛みの分析、治療を診てきました。
大切なのは,最初の痛みを見逃さないこと。そして簡単にできる対処をおこないアライメントを見直すことです。
それでも、治らない痛み(これがかなり多いのですが)は、しっかり治療をおこなうことが大切です。
 

仙腸関節痛と意外な関係にある関節とは?

痛みの元は炎症で、ターンアウトの間違いやオーバーユースでおきやすいこと等をみてきました。けれど、治療をしても繰り返す仙腸関節痛がでてきます。
それも、生徒ではなく教師などに少なくないのです。生徒と違い、カラダの条件も良く、アライメントは補正しやすいはずなのに、また仙腸関節痛を起こす。

一体何が原因なのか?と治療していると分かってきたのが、顎関節症との関わりです。

復習がてらみてみましょう。
 

□仙腸関節痛と関わり合う主な関節
○股関節
○腰椎の椎間関節

仙腸関節痛みの原因は、仙腸関節にある炎症です。

そして、炎症がくすぶってしまうと他の筋肉に影響がでるようになります。
場合に寄っては、骨盤周囲の筋肉(殿筋や李状筋)が硬い時に、股関節の可動域が制限されている時に、その余波で仙腸関節が痛くなるケースもあります。これは骨盤周囲のつながりから考えると納得しやすいですよね。

 

仙腸関節痛と顎関節、腰が痛いときは顎のかみしめにも注意
顎関節の構造

けれど、これとは全く違う要因で仙腸関節痛がぶり返し、しかも長引くケースがありました。
それが顎関節症です。

□顎関節とは
上あごと下あごの関節で、これも球関節の一つになります

顎関節は、腰部ではなく頭部の関節ですよね。では、何故この顎関節が関係あるのでしょうか?

顎関節症と仙腸関節痛
 

□顎関節とアライメントのつながり
顎関節は、上あごと下あごの関節ですが、上あごは頭蓋骨の一部です。うしろ頭には大きな穴があり、そこに背骨がはまっている構造。
一番上の背骨のことを第1頸椎=還椎と言い、二番目の頚椎(軸椎)と一緒に頭部を支えています。
つまり背骨の一番上には頭があって、仙骨(尾骨を含む)はその一番下なのです。


□頭の位置がずれるだけで、腰部には大きな負荷がかかる
背骨のカーブは、頭部から始まるカラダの負荷を吸収するために緩やかなS字カーブを描いています。ダンサーや教師の中にはカーブがすくないストレートになっている方が少なくありません。けれど、インナーマッスルなど訓練された筋肉があるので、かかる負荷は調和がとれるようになっている訳です。

けれど、常に頭部がずれるような負荷がかかったとしたら?
特にポワントのボックスのように小さな面積でカラダを支えるクラシックバレエでは、1cmの重心のずれは、アライメントに大きく影響します。

さまざまなトレーニングでインナーマッスルを常に鍛えているのに、一定の時期になると腰を中心に不調がでる方には、受け口や顎関節症を抱えている方がいました。

こうなると、仙腸関節痛の治療で仙骨周囲と腰部大腿部だけを診て治療していても治療効果は持続しません。


バレエ鍼灸ができる事
 
□顎関節症を治すことで仙腸関節痛が収まる
歯並びそのものの治療は、歯科治療の範囲になりますが、噛み締めや顎関節症を緩めることはバレエ鍼灸の適応になります。

今の10代は、受け口や歯の並びを矯正することが一般的になっていますが、20年~40年前では、歯科矯正はさほど一般的ではありませんでした。クライアントさんの中には受け口を気にしているダンサーさんもいました。彼女は20代でしたが矯正はしていませんでした。

矯正技術や歯科技術は時代とともに大きく変化していますが、自分が子供のころに受けた古い歯科技術の後遺症に悩んでいる40代以上の方は少なくありません。その方々の多くの方は顎関節症を併発しています。

繰り返す仙腸関節痛に悩んでいるダンサーさん、教師の方々は、顎関節の状態を振り返って見てください。